スマートノート情報

2012/07/08

【文字起こし】スマートノート原形

2009年11月8日に行われた、トークライブin奈良「岡田斗司夫のプロデュース論」の文字起こしです。この講演だけを聞いてスマートノートを始めた人はスゴイと思うほど、講義内容のレベルは高め。

スマートノートで5行日記を継続して、フェイズ3以上を始めている人にはおススメの内容です。


全体像のレジュメはリンク先を参照



あなたを天才にするスマートノート
岡田 斗司夫
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■ 好きなことを仕事にするプロデュース術
奈良講演



 Ⅰ-▼ 自己紹介

5年ごとに変わる仕事

今日はちょっと見せるものが多いので、座ってお話させていただきます。
すいません、挨拶はちょっと後にします。
今日は書画カメラというのを準備していただきまして、自分の色々書いてきたものの実物を映しながら話します。この画面いっぱいに、たとえばこんな感じで映しながら話すんですよ。なので、後ろの方が見え難くなっちゃうと思うんですよ。ですから、もし宜しければ皆さん、できるだけ前の方に来て見て頂いた方が良いと思います。

それではスタートしましょう。まだ移動してもらって全然大丈夫ですよ、もともと大学で先生やってますんで。授業中の学生さんの移動は日常茶飯事なので、まったく警戒しませんし、前の方へ来て座ってしまったら、途中で退屈で帰る時にちょっと気の毒なんではないでしょうかと思われているかも分かりませんけども、大学の授業では学生さんが途中で家へ帰ってしまったり、食事に出かけてしまったりするのも当たり前なので、そういうことで心は動きませんので、ご自由に。


どうも始めまして岡田斗司夫といいます。奈良は久しぶりです。僕はもともと大阪出身で、25歳まで大阪にいたので、奈良というのは中学、高校の時はよく来てた場所です。でもよく来たといってもやっぱり、JRの奈良から降りて奈良公園の方へ行っちゃうので、JRの西側に来たのは今日が人生初めてです。

今日はですね、好きなことを仕事にするプロデュース術ということでお話させて頂きます。
プロデュース術とか、好きなことを仕事にするというのは、どうしても話の内容として抽象的な話になっちゃいます。いわゆる具体論ではなくて、なんかこういう風に生きなければ駄目だよみたいな、上から目線の説教がましい内容になってしまいますので、そうならないように具体的に、ではどういうふうにすれば良いのか? どういうふうな行動を今日の夜からとって、明日の朝からどういうように動けば良いのか? というのが分かるように話そうと思います。そのために今日は僕がずっと付けているノートの実物と、これまでにとってきたもののコピーを何種類か持って来ましたので、それを見せながらお話をしていこうと思います。


  1-◆ 25歳 SFショップ

まずは自己紹介ということですね。なんでこんな好きなことを仕事にするというテーマで話するのかといいますと、僕自身5年ごととかに仕事が大きく変わるんですね。20歳くらいの時は学生だったんですけど、25歳の時は大阪でSFショップという小さいお店を自分で持ってそこで店長をやってました。まぁ、自分のお店ですから店長というかオーナー店長みたいなものですけど、親から170万円ほどお金を借りて、それを元手にしていろんな商品を作って、アメリカとかにも商品を仕入れにいって販売していました。


  2-◆ 30歳 GAINAX 

30歳になった時に僕は東京に出て、GAINAXっていうアニメ会社を作って、後に僕が辞めた後にエヴァンゲリオンで大ヒットしたんですけど、僕がいた頃はまだまだ貧乏な会社でそこで社長をやってました。


  3-◆ 35歳 アニメ作りが嫌になりだらだら

35歳の頃はもうアニメ作るのが嫌になって、ちょうどなんにもしてない時期でしたね。仕事何もせずにダラダラした時期で。


  4-◆ 40歳 東大講師

40歳くらいの時の僕っていうのは、東京大学でオタク文化論という講義の講師をしてました。


  5-◆ 45歳 オタキングとしての活動

45歳の頃の僕は、オタキングっていう、自分の会社の名前もそうなんですけど、オタクの代表としてテレビに出たりして「いや、オタクはこんなんですよ」とか、オタクの人の地位を上げるために色々発言していました。


  6-◆ 50歳 ダイエットの人

50歳の時の僕、ちょうど一年前の僕っていうのは、ダイエットに成功してですね、それまで117kgあったんですね、僕。ずっと人生の10歳ぐらいから太り初めて、48歳ぐらいまでずっと太り続けてたんですけども、標準体重をずっと上回っていたのが、48歳の時には117kgになってたんですけども、一年間で体重を50kgくらい減らして、それを本にして、レコーディング・ダイエットっていう本なんですけど、「ダイエットの人だ」っていうふうなことに、世間では認知されました。

こういうふうに僕自身ですね、20歳から20、25、30、35、40、45、50と5年ごとぐらいに、丸々人生が変わっているですね。それまでの連続性が何も無い。行き当たりばったりといえば行き当たりばったりなんですけど、常にその時いちばんやりたいことを仕事にしているタイプなんですよ。

なので、こういう僕でも皆さんにお話できることは、どうやれば皆さんも自分の好きなことを仕事にして、もしくは、あまり今やりたくない仕事をされてるんだったら、どういうふうにすればそこから抜け出せる糸口ができるのか。もしくは、今の仕事やりたくないことはないんだけれども、将来に行き詰まりが見えちゃってるとか、ここから先続けても同じだと思われてるんでしたら、どのように組み立てていけば先があるんだろうかということのヒントになればと今日は思います。
今日はですね、ノウハウですね、どういうふうにして自分のやりたいことを仕事にしていくか、形作っていくのかということを、ノートをベースにして話しようと思います。



 Ⅱ-▼ 仕事に使うノートとして
  1-◆ いつデブ構成表


たとえばこれが僕のノートのある1ページというか、ある見開きですね。ちょっと分かり難いと思うんですけども、細かい所までは見る必要ないです。ざっとした感じで見て下さい。ここが中心部で、ノートが右半分と左半分に分かれています。

右半分に書いてるのはですね、『いつまでもデブと思うなよ』っていう僕のレコーディング・ダイエットのダイエット法を本にしたときの構成表です。一番上に4/19という日付が分かりますか? 右ページの一番上の部分。4/19と書いてあるんですけども、これ4月19日ですね。3年前の4月19日ですから、本当に本を書き始めたところなんですよ。本を書き始めた時に、「あ、こうなんだな!」って分かって、右側のページに「助走」「離陸」「上昇」「巡航」「再加速」っていうふうに、後で説明しますけども、僕のダイエットの用語をざっと並べて、ここで何があるのかっていう、本一冊の内容を丸々この1ページに書いてあるんですね。

で、この左のページが何かっていうと、ダイエットする時は時間かかるよな、手間かかるよな、手間かかるわりに効果があるものと無いものとあるよな。つまり、手間と効果とのクロスグラフっていうのを書いてみたんですね。手間がどんどんどんどん上がっていく。効果はどんどんどんどん減っていく。そうすると、このクロスした部分が一番効率が良いはずだという考え方をここで書いている。こういう発想をノートに書いている。別にこれを見ていただくのが目的ではなくて、ノートの一例として見ていただきたいんですけども、こういうふうに書いている。




 

  2-◆ 理屈で考える服の組み合わ


こんな感じですね、僕、思い付いたことというのをどんどんノートにメモしているんですね。これだけでなくてですね、たとえば痩せてからですね、テレビとかに出る機会が多くなったので、どういうふうに服を着ていいかわからない場合の服の着方の一覧表です。これも右ページと左ページで見開きになっています。

こちら側が右ページですね。一番上の部分にTシャツの時はメガネをかけろっていうふうに書いてます。8月9日です。痩せて本が出て取材がそろそろ殺到しだした時期だから、ちょっと外面良くした方が良いから衣装のこと考えよう。よく服を着るとかファッションとかを皆さんセンスで考えるんですけども、僕にはセンスというものがよく分からなくて、自信が無いという以前にですね、センスというレベルに関してあんまり自分は無いだろうと考えているんですね。なので、そういう場合は理屈でどんどん考えるようにして、どのような組み合わせで着ればまるでセンスがあるように見えるのかっていう。これも、どういうブレザーにどういうパンツにどういうシャツを合わせれば良いのかっていうふうに、一覧表にしてます。これも左右ページで分けて書いてます。




  3-◆ いつデブ売上見込み


で、他にもノートの書き方の一例ですね。

これは売上げ見込みですね。9月25日です。「いつデブ」、悲観的に考えれば25万部、普通に考えれば40万部、楽観的に考えれば60万部売れるであろうというふうに見込みを立ててグラフを書いてみました。

ここが発売当日の0ヶ月目から1、2、3ヶ月目ですね。これを書いた時点では発売まだ1ヶ月なんですよ。ここの時点でどれぐらい売れているかを縦線にとって、どのぐらい売れるであろうかっていうのを最高5ヶ月まで組んであります。

僕が予想したのがですね、1ヶ月目で25万部だったんですね。1ヶ月目で25万部だったら、この数値のまま徐々に徐々に減衰して売上げが継続していくと、50万部に達するであろう。で、もしこの25万部売れるというのがあと1ヶ月続けば、プラス37万5千部の増刷が見込めて、全部で87万5千部になるだろうっていうふうに考えました。
実際はここまでムシが良くなくてですね、この時に予想して通りの、ちょうど50万部ですね、いま52万部の辺りで売れ行きが止まってますので、こういう自分の賭けというか考え方が当たったんですけども。さらにそれを細かく、100万部にするにはどういうふうにしていったら良いだろうかというふうに、積み上げの仕方とかを書いてます。








 

  4-◆ 仕事とプライベートは分けない


以上3つの、ダイエットに関してのやつですね。本の内容全体を一見開きで考える。で、どんな服を着るかを一見開きで考える。売上げの推移を一見開きで予想する。これはそれぞれ、よくノート術とかであるんですけども、別々に書いちゃうんですね。そういうふうなことをするのは僕はよくないと思ってるので、同じノートにどんどん上から書いていってます。これも後で説明します。これ、一番最初の概論です。

その他のノートの使い方として、これ部屋を片付ける時の片付け方を書いてるんですね。自分の部屋があって、ちょっと見難くて分かりにくいんですけど、台所、仕事机、リビングとかに分かれてるんですけども、自分の部屋の片付け方とか本棚の置き方の配置図を書いてるだけなんですね。で、どんなふうに全体のレイアウトしようか考えているアイディアを、ここに書いてます。つまりこのノートっていうのはプライベートでもあるんですよ。プライベートと仕事のノートというのを僕は使い分けてないです、一緒にしてます。


  5-◆ 自己プロデュースノートとして


こんな感じでですね、実はあの、皆さんに今日話をしようと思っている自己プロデュースの方法ですね、好きなことを仕事にするの方法の、一番根本、キモというのはですね、ノートの付け方にあると僕は思ってるんですね。ですから今日はそのノートの付け方っていうのを具体的に話すことによって、どうやったら自分のなりたいものに近づいていけるのかっていうことの話をしたいと思います。




 Ⅲ-▼ 最近流行のノート術

ノートの付け方って、色々あるはあるんですね。本屋さんに行けば、最近ノート術流行りなんですよ。スポーツ選手のノート術とかですね、もしくは作家のノート術とかですね、もしくは情報処理の人のノート術ですね。あとは経済評論家の勝間和代さんも自分でですね『人生戦略ノート』っていうのを出されてます。海外ものもあれば日本ものあれば、色んなノートがあります。



  1-▼ 具体的な目標を書くノート術


ただ、僕がみるにそれぞれ一長一短というかですね、長所はそれぞれあるんですけど、短所も多い。一番の短所と僕が思うのは、たとえば目標をノートに書いてスケジュールを決めるというやり方。たとえば30代で社長になるとか、もしくは25歳までに店を出すとか、そういう自分の目標みたいなのをノートに書いて、そういうステップを順々に自分で書いてやろうというふうなノート術って良くあるんですよ。というより、売ってるノート術の半分くらいはそうかな。まず自分の夢をはっきり書こうとか、自分のやりたいことは何だろうか、自分の目標というのは何だろうか、はっきり言葉にして書いてみようというのが凄く多いんですね。

で、夢とか目標とかを言葉にすること自体は、僕は反対ではないんですけども、目標を具体的に決めちゃって、それの中間地点をワンステップずつ書いていくのは、僕はちょっと無理があると思ってます。ていうのは、何か具体的な目標、それも大きな夢であればあるほど、実は成功するかどうかっていうのは運とか周りの状況次第という要素が多すぎるように思うんですね。具体的な目標を決めても無駄な場合が多いんです。


  2-▼ 運と状況次第
   a-◆ 佐藤大さん 


この間も佐藤大さんというシナリオライターの方とお話したんです。佐藤大さんというのは僕が知ってる分野の、アニメーション作りのところではかなり有名な方で、「カウボーイ・ビバップ」っていうアニメーション・シリーズのシナリオライターされてるんですけども、彼がシナリオライター講座というのを最近やってると聞いて、シナリオライターのなり方ってどうやって教えるの? って聞いたら、「シナリオの書き方は教えられるけども、シナリオライターのなり方は教えられない」と言うんですね。なんで? って聞いたら、「この業界は運とかそういうものが多すぎる」と。「シナリオライターとしての能力があるかどうかよりも、運があるかどうかの方が遙かに大きい。でも運は教えられないし、運は本人しだいだし、しょうがないからシナリオの書き方だけ教えている」というふうに仰ってたんですね。


   b-◆ 木村拓也のドラマのシナリオライター

運次第というのが具体的にどういうことかと聞くと、たとえば今木村拓哉さんが主演されてるドラマで、いつもシナリオ書いてる女性のライターの方がいる。その方はもともとテレビドラマの大道具さんだったんですよ。大道具やってる女の子だったのが、大道具さんにも台本が回ってくるわけですね、撮影の時に。もちろん台本を見て「ああ、こういうシーンなのか、じゃ照明をもっと大きくしなきゃ」とか「ここの所、窓が壊れるから、壊れるような窓にしなきゃいけない」っていうふうに、台本を読み込まなきゃいけない。だから台本、シナリオが回ってくる。

そうすると、あまりにもセリフにセンスが無いのが多いので、自分で勝手に赤ペンで線引いて、自分が知ってる少女マンガの格好良い台詞に入れ替えたんですね。シナリオライターが書いたシナリオそのものなんですけど、台詞の部分だけ彼女が知っている格好良い少女マンガの台詞に入れ替えてるんですよ。

で、それをたまたま監督や俳優さんが見て、「この台詞格好良いね。どうしたの?」、「いや、少女マンガにあるんですよ」という話を面白がられて、「じゃ、おまえシナリオ書いてみろよ」という話になった。なんでシナリオ書いてみろよという話になったかというと、彼女が少女マンガの台詞をいっぱい知っていたからですね。でも、その人はシナリオ書けないわけですよ。なんせ知ってるのは台詞だけですから。でも構わない。「シナリオは実力のある先生に書いてもらうから、おまえはその台詞を直すだけの仕事してくれ」

これ、日本ではちょっと特殊なんですけども、ハリウッドではダイアログ・ライターといって、よくある仕事なんですね。台詞を直すだけの、作るだけの仕事。日本ではわりと珍しいんですけど、彼女はそのダイアログライターになってしまった。今ではちゃんとテレビのシナリオのところにクレジットされてます。


   c-◆ 偶然による成功

これは、じゃ、どうやってなるのかと聞かれると、佐藤大さんとしても困っちゃう。
じゃ、テレビ業界に入って大道具やれていうふうに言えない。少女マンガを読めとも言えない。少女マンガを読んで、大道具やって、現場で同じように台本直してたら、それがたまたま誰かの目に留まって面白いと言われなきゃしょうがないし、気に入られて採用されなければ意味がない。なんでこんなにこの業界ってのは運次第なんだ!と佐藤さんも思った。僕もそう思ってます。



 Ⅳ-▼ 自己プロデュースとは


なので、さっきも言いました、具体的な大きな目標ですね。なんでも構わない、総理大臣になるでも構わない、世界征服するでも構わない、社長になるでも構わない、家を建てるでも構わないんですけど、具体的な目標で大きくなればなるほど、スケジューリングできないんですね。何月何日までのこれをして、これをして、これをしてとか。


  1-◆ 目標を書いてスケジューリングするのは短期決戦

勿論、手前の部分はできますよ。たとえば、「アイドルになりたい」「18までにアイドルになりたい!」という風に14くらいの女の子が考えたとしたら、これから半年間くらいのオーディションの日程を書き出すことはできるんですよ。オーディションの日程を書いて、そこまでは凄く具体的なんですけど、そこから先、じゃこの日までに武道館でコンサートだ、この日までに東京ドームでコンサートだと決めても、それは夢を書いてるだけで決して目標にはならないですね。

なので、ちょっと話が大回りになったんですけど、ノート術で良くある、自分の夢や目標をはっきり決めて、それに向かってスケジュールを決めましょうとか、途中のステップを決めていきましょうというのは、やっぱ僕には嘘っぽく聞こえちゃいます。今言ったように、大きな目標であればあるほど、偶然や運の力が大きすぎる。自分の周りで成功してる人とか、世の中の社長とかの自伝みたいなものを読んでも、自分の計画通りに上手いこといってそういう仕事になった人っていうのを僕はほとんどみたことが無いんですね。そうでなくて、ほとんどの人が偶然上手くとかですね、もうこっちへ行って駄目かと思っていたら偶然こっちの事業部に呼ばれて、というのが凄く多い。

ただし、目標を書いてスケジューリングしてというのは、短期決戦の場合たいへん有効なんですね。せいぜい1ヶ月くらいの期間の間に何かをしなきゃいけない、宿題でも良いですし、卒業論文でも良いですし、共同制作の何かを作らなきゃいけないでも良いです。映画作る、でもそうですね。せいぜい1ヶ月ぐらいの単位でやる場合は、スケジュール切って、具体的なものを書いて、というのは凄く有効なんですけども、人生の目標や、大きい仕事のゴールを書くには、この方法はあまりに向いてないと思います。


  2-▼ 自己投資・自己実現に書かれている方法論

ノート術に限らず、成功するため、自己実現の方法でよく言われる、自己投資するという方法ですね。勉強する、本を読む、色んな講習会に行く、そういうようなことを推薦する人がいますけども、これもですね僕は一長一短だなと思います。勿論、やらないよりはやった方が良いのですけど、闇雲な自己投資は疲れるんですね。やってもやってもキリが無い。なんでこれをやってるのか見失ってしまう。


   b-◆ 勉強など自己投資をする

たとえば、「英語力を上げるぞ」と言って英語学校に通う。英語力が確かに上がるんでしょうけど、「英語力が上がったからといってどうなるんだろう?」と迷っちゃう場合もあるでしょうし。あとですね、自分が最初に思ってたほど、そんなトントン拍子に自分の能力、スキルというものが簡単に上がると限らないんですね。そういう場合、真面目にやらなかったから駄目なんだろうかとか、どんなに勉強してもTOEICの、いわゆる英語の自己評価点みたいなものが上がらない、どうすれば良いんだろうというふうに無限に悩んじゃう。

今、香山リカさんという人が「しがみつかない生き方」という新書を出してベストセラーになっているんですけど、その中で書いているものが、真面目なビジネスやっている女性ほど燃え尽き症候群」っていうんですか頑張って自己投資して勉強しなきゃいけないと思ってたら、どんどんできない自分がはっきりしてくる。

当り前ですね、ほとんどの人はどんなに自己投資しても、やればやるだけ自分がまだできていないことがはっきりしちゃって、疲れてくるんですよ。それで燃え尽きちゃうので、あまり勉強する時間をいっぱい取ったりとかですね、自己投資のために何か学校行ったりするのは、僕はほどほどが良いと思ってます。なので、この方法もあまり効率が良いとは限らない。


   c-◆ 人脈を広めるためにいろんな人に会う


あとですね、人脈を広げるために色んな人に会うという方法もあります。自己プロデュースの方法ですね。これも無駄が多いです。人脈を広げるためにって言っても、確かに世の中には面白い人いっぱいいるんですけども、面白い人を面白いと分かるには、自分にも能力が必要なんですね。面白い人が単に変わってるだけの人なのか、真に中身があって自分のためになることを教えてくれるのかどうか、ってのを判断するには、自分がそれなりの能力、人間をみる能力とか、もしくは相手の言ってることが分かる能力がないと、できないんですね。

つまり、小学生に分かる面白さと、中学生に分かる面白さ、高校生に分かる面白さって、全然違うんですね。小中高校とそれぞれ人気のあるタイプが違うようなもので、だから人脈を広げるためにやためったら人に会って、面白い人にどんどんどんどんルートを作って、これの人脈で何か自分が大きいことができるんじゃないか、そういう自己投資もよく薦めている本があるんですけど、これも僕はお薦めしかねる。なんでかっていうと、今言ったように無駄が多い。会ってる人がただ単に面白いだけなのか、それとも本当に自分のためになるのかは、実は一年とか二年経たないと分からないし、おまけに、その時の自分にとって面白さっていうのがどの程度分かっているのかが、なんだろ? 進歩がまだ読めないですね。これちょっと、次のネットでも同じことはさみますんで。ネットの部分でも言ってしまいましょう。


   d-◆ ネットで情報を得る


①目標をノートに書いてスケジュールを決める。
②勉強など自己投資する。
③人脈を広げるために色んな人に会う。
で、これが最後です。④ネットで情報を得る。
これもよく自己投資とか自己実現の本に書いてあるんですけど、ネットで情報を得るのも今言った人に会うのと同じで、自分次第の部分が凄く大いんですね。人間が何かを分かるというのは、自分が分かる部分だけなんです。



  3-▼ 第一印象主義
   a-◆ プリミティブ
幻想を持つ日本人

たとえば、フレンチレストランの料理とかワインというのは、その人に能力とか訓練とかないと分からないんですね。情報無しで味わっても、「ああワインだな、お酒だな、ちょっと美味しいかな」ぐらいしか分かんなくて、高いワインがなんで高いか、良いフレンチレストランはなんで美味しいのかっていうのは、実はあれ訓練しないと分からないものなんですね。

でも、僕たち日本人というのはプリミティブ幻想っていうんですか、人間は本来良いものが分かる筈だという幻想を持っているので。


   b-◆ 教養として理解する西洋人

これちょっと西洋人と違うところですね、西洋人はもっと教養主義的な考え方をしているので、たとえば美術館に行くのは美術を勉強するためであって、目を養うためって、はっきり言ってます。だから、美術館に行って良いものを良いと見るのではなくて、なんで良いのかを考えて、書いてある本を読んで、しっかり学んで美術館に行くっていうアプローチをするんです。

ところがそれに対して日本人が美術館に行くっていうのは、中にある素敵な絵を見て、自分の心が感動すればそれで良いんだっていうふうに考える。つまり、何か芸術的なものだとか美を鑑賞するのに、あらかじめ勉強っていうのは不純物であって、何か色々書いてある評論を読むというのはやらなくても良い、それ以前に分かれば一番素晴らしい、という考え方しちゃうんです。

だから、」美味しんぼ」っていうマンガがあるんですけども、よくその中に出てくるのが、「本当に美味しいものは、どんな人にも美味しい筈だ」、牛乳が嫌いな子供が出て来たとしたら、「それは君が今まで本当の牛乳を飲んだことが無いからだ!」で、その子供が本当の牛乳を飲んだら、「本当だ、甘くて美味しいや!」「ほら、偽者の牛乳が多いから牛乳嫌いの子が増えているんだ。でも、本当の牛乳は誰にでも美味しい」

「美味しんぼ」っていうマンガはいつもこういう作り方なんですよ。魚が嫌いな子が出てきたら、それはおまえが新鮮な魚を食べたことがないからだ。新鮮な魚は誰が食べても…と、同じように、ワインとかフレンチとかでもそういうふうなことを言いかねないんですね。でも、フレンチやワインの世界ははっきりと違っていて、訓練しないと分からない。どこの産地のワインというのを飲み比べて、頭の中にある程度の知識量がないと、ワインというのは味わっても無駄だし語れないと、はっきりと決まっているんですね。

同じようにネットの中の情報も、ネットの中に書いてあることがどれぐらい本当で、どれぐらい嘘なのか、もしくはどれぐらい当てになるのか、もしくはどれぐらい偏っているのかというのが、自分の中にある程度の知識マップがないと味わえないんですね。でも僕たちはプリミティブ幻想、日本人が持っている真っ白な心でみて感動できればそれが本物だっていうものを持っているから、予断とかそういうもの無しに良いと思えば良いんじゃないかなぁって、第一印象主義で、ついつい考えちゃうんですね。大変危険です。ネットとかの情報は、僕が思うには、情報の目次だというふうに思った方が良い。

現に僕自身、レコーディング・ダイエットっていう方法っていうものをネットで検索すると、だいたい八割ぐらいの情報が又聞き情報なんですね。レコーディング・ダイエットっていう情報は、ネットではわりと紹介されているんですけども、でも考えた当人の僕からみたら、間違ってる情報が凄く多いので、やっぱネット情報というのは何かみる時の目次だと思えばわりと当てになるんじゃないかと思います。それで確認するようなことはあんまりしない方が良いです。


  4-▼ 自己プロデュースは農業
   a-◆ レコダイの構成


要は、今まで色んな自己プロデュース方法とか勉強方法を批判というかですね、これちょっと一長一短とか、効率が悪いって言ってきたんですけども、どういうふうな方法が良いのかっていう説明をしてます。

そのためにはダイエットを例にして考えてみるのが一番分かりやすいんじゃないかなと、今回僕考えました。というのは名瀬かというと、僕が考えたレコーディング・ダイエットという方法も、食べたものを毎日記録することによるダイエット方法なんですね。今日、僕が説明しようとするノート術に凄く似ている。なんで効き目があるのかっていうキモの部分も凄く似ている。

もう一つあと、ダイエットを例にして話すのが良いのかなと思ってるのかというと、実はノートをとったり自己プロデュースするというのは、僕が思うにかなり農業に近いんですね。狩猟とか産業、工業ではなく、農業に近い。これまでのノート術とか自己実現術というのは、このようにすればこのような効果が得られる、毎日これを書けばあなたはあっという間にこんな能力が得られるという、産業的なものの考え方なんですね。工場でものを作るみたいな考え方なんですけども。

僕思うに、自己実現にしても自己プロデュースでもそうなんですけども、もっと農作業みたいに毎日毎日少しずつ積み上げていけば、来年の今頃になってようやっと花が咲いたり実がなったりする。もしくは、今年いっぱいは畑を休めることに専念していけば、再来年以降に実るっていうのに凄く近いので、そこら辺がダイエット的だなと。僕のダイエット方法っていうのは、こうすればすぐに痩せるとか、あっという間に体重が減りますよではなくて、このようなやり方を続けていけばあなたはビックリするぐらい痩せていて、一年くらいかければ僕みたいに50キロぐらい減らすことできるんですけども、3ヶ月や4ヶ月で10キロとか20キロとか無理ですよ、というのが僕の考え方なんですね。なので、ダイエット方法をベースにして、ちょっと説明してみたいと思います。


これあの、自分のダイエット方法の説明ですね。「レコーディング・ダイエット」が僕のダイエット方法です。だいたい大雑把にいうと、4つぐらいの段階になってます。

「助走」っていう段階、何故太っているのか? 太り続ける努力の確認って書いてあるんですけど、助走の段階でやることは、毎日食べてることをひたすらメモするだけです。口に入れたものを、水以外のものをひたすらメモする、これが助走段階です。

僕はだいたいこれを1ヶ月とか2ヶ月続けてくれと言ってるんですけど、まず痩せたいなと思ったりダイエットしたいなと思ったら、痩せる努力っていうのを一切しなくて良いから、食べてるものをひたすわメモしてくれと。それによって、自分が何故太っているのか、その人が太っているからには太り続けている努力しているからだというのが僕の考え方なんですけど、それを確認する。

二番目、「上昇」ですね。これはカロリーを書くんですね。食べてるもののカロリーを、1、2ヶ月「助走」で食べてるものをメモしてたら、食べてるものをメモするのが平気になってくる。そうすると次の「上昇」段階に入り、食べてるもののカロリーを横に書くんです。カロリーを書いて、欲しくないのに食べていたもののカロリーというのが分かってくるんですね。

人間というのは毎日毎日欲しいから食べているんではなくて、晩御飯だから食べてるとか、他に選ぶものがないから食べてるとか、途中でお腹いっぱいになっちゃってけども残すの勿体無いから食べちゃったっていう、欲しくないのに食べていたものというのが結構ある。それのカロリーがどれぐらい多いのかっていうのが分かれば、それを避けたり、置き換えたりできる。置き換えるのは何かっていうと、きつねうどんと天丼と迷った時はどっち食べたいなかと考えたんだけども、カロリーがこんなに違うんだったこっちにしようとか、どっちでも良いんだったらカロリー低い方にしようという置き換えのことですね。

これも、今日のお話の本筋はダイエットではないので、本当に軽く説明します。一番最初は食べたものをメモするだけ。食べたもののカロリーを気にするだけ。

で、「巡航」という段階なんですけど、これでまぁ毎週1キロぐらい痩せると僕言ってるんですけども、ここでやってるのがですね、カロリーをその人の基礎代謝プラスアルファぐらいに抑えるっていうやり方ですね。僕でいえば1日1500kcalぐらいに抑える。この、毎日食べていたもののメモをして、次に食べたもののカロリーをいつも書いていたからできるんですけども、1日1500kcalぐらいに抑えると、だいたい僕は毎週1キロぐらい痩せていました。こうやって痩せると。

で、「再加速」が、ダイエットするというよりは昔から痩せてる人の考え方に近づくというやり方ですね。


   b-◆ 成功者からは学べない

こういうダイエット法なんですけども、これがですね、ノート術に凄く近いんですね。今話したダイエット法は、どうやって痩せるかというよりは、自分が毎日何を食べているのか、なんで太っているかを知って、太る食べ物を避けようとか、もしくはそういうふうなものを置き換えようという考え方をしていたんですけど、同じように自己プロデュースの方法でも、どうやれば成功するのかはあまり考えない方が良いんですね。

つまり、成功者からあまり学ばない方が良い。世の中で売っている、こうやって成功したとか、利益が何倍になるとか、夢を叶えるためにはこういうふうにするという、成功本みたいなものがあるんですけど、僕の考えでは、あれは自分を勇気付けるには凄く良いんですね。モチベーションを上げるには凄く良いんですけども、それを真似しない方が良い。どちらかというと、どうやって成功するのかっていうのを真似するのではなくて、自分を含めて周りは如何に失敗してるのかというのを意識した方が良い。ダイエットのやり方の最初と同じですね。
つまり、如何に太り続ける努力をしてるのかっていうのを自分が知ることによってその行動を避けるようになるのと同じことで、如何に成功するかじゃないんですよ。如何に成功しないように、毎日自分がついつい行動をとっているのかっていうのを、良く観察してみることによって、毎日毎日失敗することから遠ざかっていれば徐々に成功に近づく。この辺が農業に近いと言った考え方なんですけども。

で、ずーっと毎日少しずつ続けられるプロデュース法っていうのを、自分の値打ちの高め方ですね。毎日できて、結果が蓄積され累積されて、自分に合っていて、できれば数値で分かった方が良いんですね。ダイエットがやり易いのは、毎日体重測るから、数字で今何kg? っていうのが分かる。数字で確認できるんですよ。

ところが、自己実現とか自己プロデュース法っていうのは、毎日頑張ったつもりでも、先週に比べて今週の自分はどうなんだろう? 先月の自分に比べて今月の自分はどうだろう? っていうふうに中々分かり難いので、できれば何かそれを数値化して、先月の自分はこれぐらい頑張った、今週の自分はこれぐらい分かったというふうに、数字で分かるようにしてあげた方が自分の励みになる。そういうふうな方法でないと、中々キツいと思います。



 Ⅴ-▼ 岡田ノート術とは


では、具体的なノートの付け方の方に話を進めますね。
ここまでの話、全体なんだったかというと、自己プロデュースの方法でよく世間である、人脈を広げる、勉強する、目標を書いてそれに向かって中間ステップをやるということに関しては、それぞれ僕は問題があると感じている。

そうではなくて、もっとじっくり自分を育て上げる、農業のように育て上げる方向の方が、成功率が高い。闇雲に成功者の成功談こうやって成功した! っていうのを読んでも、ちょっと前にお話したシナリオライターの話のように、それぞれの成功した人には偶然の要素や、その人にしか通用しないような特殊なケースの事件が多すぎる。業種や業界が違ったら、それぞれ皆さんに当てはまらないことが多すぎるので、あまり成功者の「こうやって成功した。だからおまえもこうやれ」っていうのは、中々やりにくい。もっと基礎的な部分で自分の値打ちを高めるようなやり方しか駄目なんじゃないか。


  1-▼ ノートの注意点
   a-◆ スローステップで昇っていくもの


その意味では、成功法もしくは自己実現法ってのはダイエットに似てると僕は思いました。ダイエットっていうのも、「こうやって私は痩せました!腰回しです!!」「朝バナナです!」っていうふうに、シンプルで、すぐ効果が出てきて、簡単なやつほど、実は効果が無いんですね。それぞれのダイエット法は3ヶ月から6ヶ月すると消えちゃうんですよ。やっぱり、最初何kg痩せたっていっても、皆途中で辞めちゃったり、「私には無理だ」って話になっちゃう。みんな自分の意志力が無くて辞めたとつい思っちゃうんですけど、そうじゃないんですね。

色んなダイエット法は、一番最初は効果があるようにみえるんですけど、長期間続けられないようなものばかりなんです。「ビリーズ・ブートキャンプ」というのが何年か前に流行ったんですけど、ビリーズ・ブートキャンプで痩せ始めるというのは凄く簡単なんですね。

あれだけハードな運動すれば、ビリーズ・ブートキャンプでもコアリズムでもなんでもそうなんですけども、最初の1、2ヶ月で5、10キロ痩せて当り前なんですね。問題はそれをずっと続けられるか、っていうことです。自分の目標体重に達するまであの激しい運動を毎日続けて、おまけに痩せてからもあの激しい運動を週に3回続けられるか? っていうことですね。

僕思うに、そんなこと続けられるんだったら最初からその人太ってる筈が無いんですよね。ずーっと続けられないことを痩せるまでの我慢だと思っちゃうと、絶対失敗するんですよ。自分が今こういう悪い状態にいったのは自分の責任だから、自分に何か厳しい罰を与えなければいけない。そのためにはこれぐらい激しい運動、これぐらい激しい食事の我慢、これぐらい激しいマッサージ、これぐらい激しいウォーキングをしなければ、自分に対する罰にはならない。太ってしまった自分に対する罰にならない。こんなにしたから痩せた体になったらそこには天国がある。こういう考え方、全て無茶なんですね。そんなやり方で人間痩せられないし、目標に近づけない。もっと目標への階段っていうのは、スローステップでゆっくり昇っていくものであるべきだ、っていうのが僕の考え方。
っていうのを、成功法とダイエットっていうのがかなり似ているのではないか、ってことで話しました。根幹はやはり、こうやれば成功するとか、こうやれば痩せるとかではなくて、痩せ方であれば、何故今太っているのか? 太り続けているための無駄な努力っていうのを辞めてみる、毎日続けられるものを考えてみることで、徐々に徐々に痩せる体質に近づいていくみたいなものですね。

成功法もですね、何故成功するのか? どうやったら成功できるのかではなくて、何故成功できない体質もしくは考え方になっているのか? 何故今好きなことを仕事にできないような考え方、世界観になっているのかから、徐々に徐々に離れて、自分の値打ちを高めていって、自分が考えてること・思ってることを表現したりプロデュースできる環境もしくは自分に、徐々に徐々に作り上げていこう、1年2年がかりで構わないから作り上げていこうっていうのが、一番の近道ではないかというふうに考えています。

で、そのための僕の、皆さんにお薦めするやり方がノート術です。


   b-◆ 人生のスケジュール化は夢に縛られる。


ノートを付ける場合に気をつけて頂きたいのがで、ノートを付けるのにあまり早い効果を求めないことです。よくスケジュール帳とかに、このノートを使えば来週からあなたの効率は2倍、3倍に上がるっていうのが書いてあるんですけど、そういうことを考えてノートを付けるとあっという間に行き詰まります。一瞬、ノートによって効率が上がったような気がするんですけども、そんな、効率が上がってしまったことに皆さんの体も心もついていかないです。

たとえば夏休みのスケジュール帳一番最初にスケジュール表考えて、朝6時に起きて、6時15分に歯を磨いて、6時半に朝ご飯食べて、6時45分に勉強初めて、7時半に勉強1回目終わって5分休憩して……っていうふうに、びっちり書くのは可能です。一日目、二日目それができるかもわからない。一日目、二日目それで効率が何倍にも上がったような気がするんですけども、夏休みそれで過ごせないですね、キツすぎるから。

同じように、よく世間で売っているスケジュールの管理術が色々あって、効率が何倍にも上がるっていうんですけども、そんな上がってしまった効率に、僕たちの心や体はついていけないです、ストレスが溜まってしまって。一番最初にやった時は興奮してアドレナリンが出て、一日二日できるんですけど、正に三日坊主という言葉どおり、三日目ぐらいに動けなくなってしまいます。なので、ノート付ける時、あまり効率化を求めないようにして下さい。

次に、考えるためのノートとスケジュール帳は同じに考えないようにして下さい。ちょっと今言ったことと矛盾するんですけど。スケジュール帳というのは純粋に、見開いたら一ヶ月分のスケジュールが書いてあって、誰それに会うとか、この日締め切りとか、この日映画に行くとか、友達と約束してるとか、そういうスケジュール帳です。

そういうスケジュール帳と、最近の流行りなんですけど、自分のやりたいこととか、夢とかを書いてそれをスケジュールの中にどんどん入れていく。混ぜてしまえば、自分の夢がどんどんスケジュール化されて近づく、っていうのがあるんですけど、それやっちゃうと自分の夢に縛られて生きることになるんですね、どうやっても。自分のやりたい夢みたいなのを一番最初に書いたばっかりに、毎週末それのことをやらなきゃいけなくなったり、そういう仕事に追いまくられたりするようになってしまう。それってかなり忙しいことですし、本末転倒だと思うんですね。

自分が夢として決めたことで、毎週毎週スケジュールが埋まってしまって、それをやらなかったら自分が負けたような気がする、駄目になってる気がする――というような劣等感で毎週毎週を送らなければいけなくなってしまうので、考えるためのノートとスケジュール帳はできれば分けて下さい。

スケジュール帳というのは純粋にスケジュールを管理するため。僕が今日説明する考えるためのノートというのは、純粋に自分が考えたり、自己実現したり、自己プロデュースするためというふうに、割り切って使って頂ければと思います。


  2-▼ ノートの目的


一番最初にお見せした何種類かのページがありますね。売上げ予想表、どんな服を着るのかのファッションのチャート、あと自分の本の構成表。こういうふうなものを見ていると、かなり整理された、論理的な内容に見えると思うんですね。「こういうふうなものを付けなきゃいけないのか」、「そんなん無理だぞ」、と考えるかも分からないんですけど、これは言ってしまえば、僕もうこのノート10年以上付けてるんですね。で、8年目くらいのノートの完成形を皆さんに見せています。

なので、一気にここまで行く必要ないです。ここまで行くのに最低でも3年くらいかけた方が良いです。特にこれなんて、1冊の本の構成表が上から下までパーッと出てきたら、すぐに本なんか書けちゃうわけですよ。これは、ダイエットの本書くのに関して、5回目くらいなんですね、構成表書こうとして。5回目ぐらいでようやっと成功した日のノートのコピー持ってきたんですけど、他の日はわりとデタラメなこととか書いてある。

今日話するのはですね、まず初歩の段階からどういう付け方するのかという話なんで、さっきノート見せたからといって、「あんな複雑な面倒臭そうなもの付けなくきゃいけないんだ」って考えないで結構です。


   a-◆ 失わないためのノート術

ノートはなんのために付けるのかというと、まず一番の目的は失わないためです。失うというのは何かというと、僕らが普段考えている「考え」っていうのを失わないためですね。
実は個人個人はそんなに頭悪くないんですね。どっちかっていうと、自分で評価してるよりは、皆さん個人個人は頭が良いと思います。

ただですね、折角考えたことを忘れたり、途中で辞めちゃったりするから、また何か考えるときに、「あれこの問題一回考えたことあるなぁ」と思いながら、一からやり直しになっちゃうんですね。なので、効率が悪いものの考え方をしてるんですね。

僕らはもともと、色んな時に色々悩んで、「こうかもしれない」、「ああかもしれない」と思ってるんですけど、その考えってなんだかんだ言ってもいつか忘れちゃったり、失ったりするんですね。なので、もう一回やり直しになる。言ってしまえば、なんでしょうね? これが旅行だったら、1日目10km歩いて、2日目5km歩いて、3日目また10km歩いたら、ちゃんと25km歩いてるわけなんですけども、毎日毎日出発点まで帰ってるみたいなもんなんですね。

何か考える度に、「そうか、そうかもしれないな」と思ってそのこと忘れちゃうから、また一から考える。「あれ、どうやったけ? どうやったけ?」とかいうふうに考えるから、毎日出発点まで戻るから、絶対に10キロ以上遠くへいけないみたいなものなんですね。

ところが、ある程度そういう考えてることを書き溜めておくことによって、今言ったように10キロ+5キロ+10キロというほど楽観的ではないんですけど、徐々に徐々に延ばしていくことは可能なんです。それをするために、失わないためにもノートを付ける。

あと、嫌な話になりますけど、僕らが今考えたり感じたりしてることってのは、僕達が死んじゃえば全部終わりなんですよね。自分の脳内で色んなこと思いついたり、夕焼けみて感動したり、奈良公演の鹿みたら可愛いなと思ったり、煎餅やろうとしたら怖いから案外怖いんだなと思ったりするじゃないですか。

そういう当り前の日常的な小さな発見とか感動とかいうのは、僕たちが死んじゃえばこの世の中から消えてしまって、私があなたが考えたことっていうのは、一生誰にも分かんないまま消えちゃうんですね。それは凄い寂しいなぁと思うんですね。なので、自分だけでもそれを失わないために、ちょっとメモしてやるのが良いと思うんです。でないとあまりに勿体無い。

脳っていうのは、これ僕の考えなんですけど、魔法の財布なんですよ。とりあえず毎日毎日なんか生まれてくるんですね。なんにも入ってないところなのに、毎日毎日何か雑念とかぼんやりしたところで「ああ、そんなんだ」と思ったり、「あ、こんなふうに自分かんがえているんだな」っていうふうに、毎日必ず実は意外な発見っていうのがある。魔法の財布なんですけれども、困った時にこの魔法の財布、底に穴が開いてるんですね。

だから、何か思いついたり、何か考え付いたり、何かについて考えを巡らせて、ある程度の結論に達するんですけども、そこからぽろぽろぽろぽろぽろぽろぽろぽろ、コインが落ちるように、毎日毎日失われていく。

だから、どんな人でも面白い思いつきとかアイディアとか人を感動させる話って持ってるんですけども、どんどん忘れていっちゃう。なんで忘れるのかというと、人間はあったこととか感動したことを全部覚えていたら気が狂っちゃうからですね。人生に良いことばかりしかなかったとしても、あったことが忘れなかったらその人は頭がおかしくなっちゃう。だから忘れるっていうのは脳のために良いんですけども、ところが全部忘れちゃうから私達はさっきも言ったように最初から考え直ししなきゃいけなくなっちゃうんですね。それを防ぐ為にもノートを付けるというのは良いと思います。


   b-◆ 忘れるためのノート術

あと二番目。一番目の「失わないため」と矛盾するようですけども、忘れるためにノートを付けましょう。

私達はどういう時にストレスがあるのかっていうと、「あ、これ覚えとかなきゃいけないな」という時にストレスがあるんですね。だから、「覚えとかなきゃいけないな」とか、「この本読んで面白かったなぁ、覚えとかなきゃいけない」と思ったら、そういう時はさっさとノートに書いちゃいましょう。ノートの書き方はあとで説明しますのでご安心を。

で、書いたら忘れても良いんですよ。というより忘れるために書く。さっきも言いました通り、人間っていうのはいつまで経っても覚えていたら頭がおかしくなっちゃうので、ノートというのは僕も自分で書いてるんですけど、買いてるものってのはまず見返さないです。今さっき10何年付けてるって言ってますけども、僕この10何年分のノート今までほとんど見返したことが無いです。見返したことがないんだけども、皆さんにこれをやると効果があると説明しに来たんですね。

つまり、このノートを付けるというのは、書いていてノートの分量が膨大になったら「あ、これいつか考えたんだ」といってバーッとみて役に立つかというと、そうではないんですよ。農業ですから、ノート付けるというのは畑を耕すのと同じなんですね。脳という畑を耕してると良い作物ができるから耕しましょう、って言ってるんですよ。なので、忘れるためにもノートを付ける。何か覚えとかなきゃいけないことがあったらノートに付けちゃって、あとはさっさと忘れて楽しいことを考えようというのが僕の提案です。


 3-▼ 考えるクセ付けへ
   a-◆ 農耕地として


その意味で今「農業」と言ったんですけども、ノート付ける目的というのは何かっていうと、書いてある内容よりが重要じゃないんですね。さっき僕が見せたこの自分の本の売り上げ推移の予測表なんて、今になってみれば意味無いんですよ。何年も前に考えたことで、どれぐらい本が売れるだろうかという風にとらぬ狸の皮算用やってるんですけど、意味が無いんですけど、これを書くこととか、こういうふうにものを考えるクセをつけることに意味があるんですね。

これ、武道でいえば型を作る訓練みたいなものなんですね。こういうふうなものの考え方を色んなシチュエーションごとにしておいたら、それが蓄積してだんだんだんだん頭の回り方が上手くなっていくというやり方なんです。だから、ノートの中で書いてあることが大事なのではなく、習慣作りが一番大事なんですね。

レコーディング・ダイエットでいえば、食べないこととか我慢することが重要なのではなくて、食べたものを書く、書いたら次はそれが何kcalくらいなのか意識する、それを何kcal以内に抑える、セーブする、こういう行動による習慣ですね。行動による習慣が自分を変える、ここだけなんですね。だから、書く内容を無理矢理レベルアップしたり、書く内容のクオリティを上げようとするのではなくて、書き続けることで効果が出ると思って下さい。


   b-◆ 本が売れない事を分析してみる。


ちなみに、さっき完成度が高いノートを見せたんですけども、普段の完成度ってこんな感じなんですね。ま、こういう風にだーっと書いて、こちら側にちょっと図解っぽくしてる。これ僕のノートのパターンです。パターン見て頂ければ大丈夫です。

こちらもそうですね。こちら側にだーっと書いて、こちら側にちょっと図解っぽくしている。これもこういうパターンで書いてます。

こういう書き方をしてるんですけども、もっとグチャグチャの時もあります。これあの、大学の講義の内容を一枚の紙に書こうとしてますね。この時はあの、色んな色のボールペンを使った方が脳の中が活性化されるかなと思って、幾つかの本に関して色んな色のボールペンを使って書いたりしたんですけども、やってて無駄なのが分かりましたね。だから今は一色のボールペンでやってます。

あとは、どれぐらいつまらないことも書いてあるのかというと、1999年の9月15日の僕のノートです。「僕の問題」もう「僕」という漢字が間違ってますよね。

「気になること、僕の本が売れない。何故?」1999年の9月の僕の関心は自分の本が売れないということだったんですね。「何故?」ここで分解して書いてます。「可能性:僕のせいだろうか。出版界の変化か。世界の変化か」この3つで考えられるわけですね。

では「僕のせいだろうか」「今まで売れたのが間違いだったのだろうか。今書いてる本がつまらないからだろうか」
「出版会の変化」の場合は「単行本の流通チャンネルが無くなってることだろうか」それとも「不況で初版部数が減らされてるからだろうか」

「世界の変化」ってのは何かというと、「もう皆本は読まなくなってるんじゃないだろうか」もしくは「一人の意見を本で読むという、他人の意見を読むという習慣自体が無駄に、無くなってきてるんじゃないのか」

こういうふうにですね、「僕の本が売れない、何故?」から分解して、「僕のせい」「出版業界のせい」「それ以外の大きな世界の変化」っていうふうに、3つに分けてる。

で、もし僕のせいだ、今まで売れたのが間違いだとすると、もっとメディア・イメージを良くしようかなとか、自分がアルゾーの代表になってみたらどうしようかとか。今書いてることがつまらないんだととしたら、作家とは何かというのをもうちょっと考えて見た方が良いな。出版界の変化で、単行本の流通チャンネルが少ないんだったら、ネット出版の可能性考えてみたらどうかなとか。初版部数を減らされてるんだとしたら、出版不況の現状があるからここは仕方が無い、ここは諦めるって書いてますね。っていうふうに、ざーっとこう対処法とかを考えてるんですけども。

これもですね、これなんのために書いてるのかというというと、「自分の本が売れない、何故か」っていうのを考えるために書いてるだけなんですね。これを考えたことによって、僕は別に何も手を打って無いです。これを書いたら、多分3日ぐらい覚えてたんですけども、昨日、今日の公演の準備するために資料整理してコピー作ってたら、これ書いたことなんかもう、からっきし忘れてたくらいですから。こういうふうに、書いたら忘れても構わないのがノートです。




 Ⅵ-▼ ノートの書き方
  1-▼ 岡田式ノート術の構成


じゃ、ノートの付け方の具体的な説明しますね。
大袈裟に言います。これが岡田式ノートの構成だ!


   a-◆ 一日一見開き


右ページと左ページですね。さっきから見開き単位で見せてます。僕はノートを横書きにしてます。つまり、左ページから右ページへやるんですけども、見開き単位で使ってます。1日1見開きで、見開いて右のページから書き始めます。普通、ノートっていうのは、こういうふうに横書きノートありますよね、横書き用のノートがあると。

この日は1見開きでこれだけしか書いてないです。これで構わないですよ。僕が言ってる1日1見開きってのは、これだけで辞めても構わないという意味です。

で、次の日が、もうちょっと書いてます。右ページに書いて、左ページが図みたいになってます。
その次の日、やたら分量があります。その次の日、分量が急に無くなります。その次の日、もの凄くあります。その次の日、まだあります。かなり多いです、しばらく。そういう日もあれば、こういうふうに右ページだけ書いて、左ページが無い日もあります。

で、ノートっていうのはこっちのページ使ったらこっちのページ使うってついつい思ってるから、たとえば1日1見開きノート使って下さいといったら、皆こちら側から書き始めるんですね。それをしないように。
ここから具体的なノートの使い方です。1日1見開きで、ここから書き始めます。ここから書いて、ここがいっぱいになったらこっちに行っても構いません。基本は、ここからここまでで一つの話っていうか、1日分収めるように書いていきましょう。

で、こっちはあとで説明しますけども、図解とかイラストを書く欄です。

あ、なんか変なの書いてる。これはなんかね、自分で萌えキャラ書けるかどうか試したんですね。
これもそうですね、なんかこう、ざーっと書いてるんですけども、ここにマスコットキャラクターを書いてみたくなったんですね。あ、ここはなんか、自分が作ってる模型の設計図書いてるんですね。
なんか、密度が高かったり、やたらあったり、薄かったりする、差が凄くあるの分かりますか? これぐらいで良いんですよ。


   b-◆ 右ページは言語化・論理・プレゼンテーション

じゃ、ちょっと話戻しますね。
これが僕のノートの構成ですけども、右ページと左ページに分けます、右ページでやることは言語化、論理、プレゼンテーションです。





   c-◆ 左ページは連想・発想・クリエイティブ


左ページでやることは連想と発想とクリエイティブ、行動っていうふうになる。これはまぁ、一応ここで喋るためにちょっと賢そうに書いてるだけですけども、順番に説明していきます。

まずノート付けるといっても何書いたら良いのかって話ですけども、ノートは基本的に毎日思いついたことや感じたことを書いてください。これ何かっていうと、人間ですね、頭の中でものを考えてるようで、あまり、思ってるだけで、考えてないんですね。思うと考えるの違いって何かっていうと、言語化されてるか、されてないかの違いです。頭の中で気になった言葉とかあったら、どんどんその日のノートに書いていって下さい。


  2-▼ ノートの選び方
   a-◆ ノートのサイズは思考のサイズに影響する


そのためにも、ノートのサイズはできるだけ大きい方が良いです。僕はB5版のノートを使ってますけども、あんまり小さいノートお薦めしません。ていうのは、そのノート見開き分が所詮その人が一日に書く分量なので、このサイズ自体が小さくなってしまえばしまうほど、スケール小さくなっちゃうんですね。


   b-◆ いつも持ち歩けるものとして


だからといって、これ毎日持ち歩いて書いて貰いたいので、持ち歩きに不便なサイズでも困るんですよ。だから多分、最大でもA4サイズじゃないかなと思う。A4のノートって目茶苦茶デカいですから、やっぱB5かA5ぐらいのサイズに収まっていくとは思うんですけども。ま、持ち歩ける範囲内でできるだけ大きいノートを探して、書いて下さい。



 Ⅶ-▼ 言語化・論理・プレゼンテーション。右ページの書き方
  1-▼ 右・第一段階 言語化
   a-◆ 毎日何を考えているかレコーディングする。


で、それを見開いて、見開き右ページから使い出す。一番最初は思いついたこと、考えたこと、つまりさっき書いた言語化ですね。意識する、自分が何を考えているのか意識する。レコーディング・ダイエットでいうと、自分が毎日何を食べたのかをひたすらメモして下さい、ってのと同じです。自分が毎日何を考えてるのか、ますひたすらメモしてください。それがなんでかはまだ良いですから、とりあえずこれを意識して下さい。

読んだ本のタイトルでも良いですし、読んだ本の感想なんか書ければ、もう上出来です。一番最初は、読んだ本、見たテレビですね。見たテレビは頭からザーっと書いているとつまんないことになるので、見たテレビで気になったものだけでも良いです。


   b-◆ つまらないことでもいいので、心に残ったつまらないことを書く。

で、気になるっていうのは、面白かったは勿論良いんですけども、腹が立ったでも良いんですよ。「つまらなかった」で、忘れそうなつまらなさは書かないように。そうじゃなくて、心に残ったつまらなさですね。「つまんねー!」と思ったら書く、ということにして。


   c-◆ 自分の感覚を言語化する練習

まず一番最初は頭の中で、色んな人間っていう思いがあるんですけども、それが言葉になってない。その言葉を無理矢理作る為に、まず頭の表面に浮かび上がらせて言語化させるっていう作業をやってほしいので。第一段階のノートは、右ページですね、まず毎日毎日思い付いたことを日本語化するということです。色んな本の気に鳴ったフレーズとか、そういうものでも構いません。普段、自分がどんなに考えてなくて感じてるか、ということが分かります。

日本語で書いてみたら絶対違う気がするんですよ、こんなこと書きたかったんじゃ無いんだけどなぁ、ってのが分かるんですけど、それぐらい僕らは感じてるだけで考えてないんですね。考えを日本語化してないんですよ。だから、できるだけいつも自分の感覚とか感じを日本語にする訓練をして下さい。つまり、食べるものを書くようにして下さいと同じですね。これが右ページの第一段階です。書き方の見本をここに出さないのは、書き方の見本なんかどうでも良いからです。


  2-▼ 右・第二段階 論理
   a-◆ あったこと、思ったこと、理由、反論


たとえば、面白かったテレビのタイトルを書いたら、「なんで面白かったのか」っていうのを書いてみる。その理由ですね。そこまでも書いて。テレビ見た、面白かった、何故か?まで書く。誰それと会った、懐かしかった、案外懐かしくなかった、久しぶりに親と会った、喧嘩した、なんでか?っていう、理由まで書く。この段階の理由はまだ自分にとっての理由です。人に話したら「なんでだ?」とか「勝手な理屈だなぁ」とか「良く分からない」と言われるようなやつかも分からないです。この段階までは、まずそれで構わないです。

で、慣れてくると、それに対して反論を加えるんですね。自分で考えたことに関して。なんでだろうと考えて、それに対して反論したりツッコミを入れたりする。


   b-◆ 上下に論理を積んでみる。


上下に論理を積むと僕は良く言うんですけども、なんで、なんで、なんでっていうふうに掘り下げて考えていくのと、ということはこうなる、ということはこうなる、ということはこうなる、と上の方に論理を積み上げていく、この二つのやり方がありますけども、どちらをやっても構いません。毎日あったことを書いて、その次にそれを何故か、ということはどうなるのか、というふうに理屈を上に積んでいく、これが第二段階です。


  3-▼ Ⅲ右・第三段階 プレゼンテーション
   a-◆ 人に説明できるようにする。


第三段階はこの「反論さらに理由」ってやつですね。論理的に考えるの第三段階ですけども、反論やツッコミを考える、と。

なんでかっていうとですね、あの、人に教えられる状態にまでならないと、なかなかものっていうのは分かってこないんですね。


   b-◆ 他人の反論に対しての準備。

僕には娘がいるんですよ。二十歳の娘で、今大学生で塾の先生やってるんですけども、受験生だった頃は成績良くなかったんですね。大学もまぁ、中途半端なところに入ったんですけども、ところが彼女が受験生で数学をやってた時にはですね、自分が分かったか分からないかしか興味無いんですよ。答えを見て、「あ、分かった!」数学だったら、問1の解き方1、2、3とかってありますよね。自分があってたかどうかだけ、すぐに見ちゃうんですね。

ところが今は塾の先生で教える立場になってるから、そうなると解き方1、2、3全て見るようになるんですね。なんでかっていうと、生徒、学生がそれぞれどの解き方をするか分からないから。どこが分からないか。ある問題が分からない人にとっては、なんで分からないか説明できないことが多いんです。となると先生っていうのは、たとえ大学生のバイトであれ、なんで分からないかを彼ら彼女らに先回りして分かってあげなきゃいけないから、実は人に教えるって時には、その問題に関してかなりの理解力が必要なんですね。

これを逆に応用してですね、自分が思ったこと、考えたことに対して、「反論さらに理由」ってのは何かというと、これを人に説明できるようにするんですね。

こんなことがあった、こんなことを思った、なんでか? っていうのを、これを更に説明できるようにする。この説明の段階で「なんで?」ってツッこまれても大丈夫なように、反論に対する準備とか、さらに理由ってのを考える。だから、何かものがある時に、あったことから思ったこと、その理由、それに対するツッこみ、さらにそれに対する理由までを、全部考えられるようにしておく。

全部考えるといってもですね、さっきも見せました通り僕自身もこのノート毎日1見開き書いてるのかというと、書いてる日もあれば、書いてない日もあるので、全てこれをやる必要は無いんですよ。これをできるだけ注意する程度で良いんです。問題なのは、繰り返しと反復練習ですから、1日1見開き書けるようになれば勝手に力がついていきますので、この理想的な書き方に拘らずに、まず毎日あったこと書いて、思ったこと書いて、理由まで書くようなクセさえついちゃえば、あとは流れでいけます。それに対する反論、さらに理由も徐々に徐々に書けるようになっていきますから。


   c-◆ プレゼンテーションできる段階になるまでは半年かかる。

今皆さんにこうやって一気に説明するの、かなり危険は危険なんですね。というのは、こういうふうにやっていって半年後ぐらいにいくステップまで、ゴールまで今説明しちゃってますから。


  4-▼ 10個のストック
   a-◆ 島田紳助の方法論


たとえば反論とか更に理由が難しい場合、人によっては自分が考えたことの理由までいったら「だってそうなんだもん、他に考えられない」という人、かなりいるんですけど、その場合はですね、具体例を10個ぐらい考える。

あったこと、思ったこと、理由。だってこれこれもそうでしょ、たとえばこうもこうでしょ、たとえばこうもこうでしょ…、っていうふうに、自分の理由を証明するような例ですね、たとえ話を10個ぐらい考えるでも良いんですよ。

これ何かっていうとですね、昔島田紳助さんが坂東英二さんと対談した時に、僕テレビで見ていて凄い感動したフレーズがあってですね。あの、島田紳助さんが坂東さんに説明してたんですけども「最近、娘がなかなかエエことを言うようになってきた」って話したんですね。流石お笑い芸人の娘だけあって、面白い返しを考えてくる。父親が「お前、こうやないか!」って怒ると、「お父ちゃんかって」っていうふうにパッと言い返してくる。なかなか上手い、と。

「お前、上手いなー」って思ったら、娘が「エヘヘ、芸人になれる?」と言ってきたんで、思わず本気で返してしもた、と。

「芸人になれる?」って聞かれた瞬間に「アホっ!」って言って、自分の方法論をボロって話しちゃったんですね。その時に話した島田紳助の方法論って何かっていうと、人間っていうのはその娘もそうなんですけども、面白いこと返そうという時っていうのはスピード勝負だと思ってるんです。

で、できるだけ、相手に何か言われた時に面白いこと思いついたら、それを即座に返そうとしちゃう。それは間違いだと。島田紳助が言うには、相手が何か言ってきたら、それに対する返しを10個考える。で、10個考えて、一番その場に合っている良いヤツだけを選んで返す、って言うんです。娘がそれを聞いて、「そんなことできへんわ~」って言うから、「それはお前が普段からしてないからや」と言って、島田紳助が自分のネタ帳というのを見せると、島田紳助は何か人から言われた時に、返せなかった時に悔しいから、どう返せば良かったんだろうかと後で思い返して10個書いてたんですね。本当に書いてるんですよ、若い頃の島田紳助っていうのは。だからあの話術があるんですよ。

つまり、具体例っていうのを10個書くっていうのは、それのストックを増やすことなんです。この具体例を10個書くという習慣をつけていれば、人に言われた時の反射として2個や3個ぐらいは思いつくようになるんですね。だから、僕らが目指しているのは、トークが上手くなることでも、人に言い返しが上手くなることでもないんですけども、具体例をいつも何かというと10個出す訓練をやっておけば、実際のプレゼンの場でもなんでも良いですけど、時間勝負で時間内に答えなきゃいけない時に、何か答えなきゃいけない時の具体例が複数出てくるんですね。3つとか4つとか出てきてその中で選ぶようになった瞬間に、人間、余裕というのが生まれるわけです。

余裕を持って回答するとかなり成功の確率上がるんですけども、いつもギリギリ一杯で最善のものを選んでいると、失敗しちゃうんですね。

あの、モテる人のフレーズっていうのが良くありますよね。女の子を口説く時とか、男を落とす時っていうので、駄目な人っていうのは一番格好良い台詞を考えようとしちゃうんですね。一番格好良い、この場で一番決まる台詞っていうのを考えるんですけども、モテるっていうかですね、格好良いことをちゃんと言える人ってのはそうじゃなくて、この場で言うにふさわしいフレーズを複数持っていて、その複数の中から選択して選んでるだけなんです。
この選択というのを習慣化するために、選ぶというのを習慣化するために、普段から何かあった時には、「理由」、この反論とかが思いつかない場合は、具体例っていうのを10個ぐらい考えるようにしている。

これもあの、農業ですから、10個ぐらいやっとけば来月役に立つというものではないです。これをズーっと続けてれば、半年後くらいにもの凄く効果が出てくるんですけども、半年はかかります。


  5-▼ 右ページまとめ

お疲れ様でした。ここまでがノートの右ページです。
さっき話した見開きのノートの右ページに何を書くのかっていうのは、ここに書いてある通り、「あったこと」「思ったこと」「理由」「反論」または「具体例」ですね。これを書く。これを毎日毎日書くんですけども、この右ページの役割っていうのは何かっていうと、「論理的になる」ってことと「人に説明できるようになる」です。

で、よく成功術とかである、こんなふうにすればプレゼン能力がつくぞ! とかですね、こんなふうにすれば効率が上がるぞ! というやり方では無くって、まず論理的になる。論理的になるためには何をするのかっていうと、実は、感じてるんじゃなくて、考えるようにする。私達が感じてることを一度日本語にして、言語化してみる。

で、それを何でだろう? という風に考えるクセをつける。それを並べていって、理由を考えて、それに対して自分で反論するというクセをつけることによって、論理的になるってことと、プレゼンができるようになるんですね。

やっと、戻ります。この右ページと左ページに分かれる、言語化と論理とプレゼンテーション、右ページの役割です。ここまでできるようになります。



 Ⅷ-▼ 連想・発想・クリエイティブ。左ページの書き方
  1-▼ マニュアル化できない左ページ。


で、左ページの「連想」「発想」「クリエイティブ」っていうのはですね、これあの、どの段階でやろうかは関係ないです。別に右ページ、まだ感じてるとか書いてる最中だから左ページ書いちゃいけないんだっていうことじゃないです。左ページの使い方は、実は、あまりマニュアル化できないものです。


   a-◆ 右ページに書いていることをマンガにする。


左ページは、もう思いついたことを書いてください。右ページに書いてあることをマンガにする、さっき僕が萌えキャラ書いてたみたいなもんですね。右ページを無理矢理コママンガにしたらどんなキャラクターがどんな台詞で言ってるのかでも良いですし、映画にするとしたらどんなポスターか、ですね。


   b-◆ 右を映画にたとえてポスターにする。

だった右ページでかなりカタいこととか仮説とかを書いてても、左ページでは、それを無理矢理マンガにしてみたらどうなるだろうかとか、映画にしてみあらどんなポスターになるだろうかとか、あと、歌にしたらどんな歌詞だろうかとか書いても良いです。


   c-◆ 替え歌にしてみる


替え歌とか、できるだけ左ページは遊んで下さい。できれば絵にして下さい。表とか絵とか。特に普段から絵を書かない人は、誰にも見せない自分用のノートですから、この時がチャンスだと思って無理矢理にでも絵を書いてみて下さい。僕がさっき書いたみたいな絵でまったく構いません。

なんかもう、この程度しか書けなくても全然構わないです。それも書けなかったら、本当にここで思いついたこと、連想したことを書くだけで良いです。左ページは基本的に遊びですから。


  2-▼ 連想としての左ページ

右ページで、さっき言った佐藤大さんと話した時に、「昨日の佐藤大」って書いてあるんだけど、10月5日に佐藤大さんと会ったんですね。で、佐藤大さんとこんな話をしたよーっていうのを書いて、左ページは全然関係ないのを、「ネット農業」とか書いてます。ハヤマさんのパン焼きの話とか……ハヤマさんって誰なんだろうか?

っていうふうに、この右ページのことを書きながら、連想したことを気にせず書いてます。この連想をやらないから、今までのノート術ってのは凄い厳しいんですね。実は人間の頭っていうのは、論理的なことを考えてる時に、もう片一方の脳の反対側ではかなり遊んでるんですよ。遊んで、色んなことを思いついてる。

で、これが統合された時に初めて何か思いついたり、良いことがあったりするんですけど、なかなか統合ができないので、自分のノートの中でやっちゃおう。言ってしまえばこれは右脳と左脳みたいなものです。人間、ものを考えることはできるんですけれども、なかなか発想したり発明したりできないので、それをノートという形でやらせてしまおうということですね。
右側の方はひたすら書く方に徹して、ノートを付ける方に、ノートは右側だけを使えって言いながら、なんかこう、左側の方は変なこと書いてます。この日は、ノートは左側書いてないぐらいです。それでも良いんですよ。こんなふうに、書いてる時にここんところで何か連想することを得にしたりしてます。

こんなふうにですね、右側で理屈っぽく、さっき凄い難しいようなこと言いましたけども、つまり理由を書け、具体例を10個書けっていううふうに、右側の法はどんどんどんどん論理的にプレゼン的にやることが積めるんですけども、左の方はできるだけ遊ぶスペース、できれば右の方を表現するような絵が望ましいんですけども、そうでなければ何を書いても良いです。連想すること、何を書いても本当に構わないです。

で、関係ない話をどんどん書いてください。こじつけとかそんなんでも構いません。

終わったらですね、これ僕のノートなんですけども、僕ノートいつも2冊持ってます。2冊を1つのバインダーに入れて使ってるんですけども、こう使ってるんですよね。これ分かりますか? こうやって見せましょう。

これ前使ってたノート。これが今使ってるノート。これどういう意味かっていうと、分かりますね。9月12日までがこのノートで、10月13日からこのノートになったという意味です。そうなると、このノートを何日付けたかが分かるんですよ。

このノート1冊付けるのに、本当はこのノート60ページあるんですね。30見開き。ということは、9月だったら9月一杯で終わってる筈なんですね。ところが10月12日までかかったっていうことは、多分12日ぐらいノート何も付けてない日があるってのが分かっちゃう。

で、これ10月13日なんですけれども、これが11月13日で終わったら、僕は1ヶ月でノートを書ききったということです。こういうふうに集計する。まぁ、集計といっても日付書くだけで良いんですよ。ノート書き始めた日と書き終わった日を書けば、自動的に同じノートを何日間で使いきったかが分かる。そうすれば自分が毎日どれぐらいノートを使ってたかが分かる。

で、できれば自分がノートを使ってる密度ですね、これだったら100%使ってるから100でも良いんですけども、半分しか書いてない時とかそういうふうなものを集計して、自分がノートを付けてるペースっていうのを書いていただいても構いません。そうすればもっとはっきりと自分がノートを使ってるのが、どれぐらい使ってるのかが分かると思います。

で、こうやって付け出すとですね、効果がやっと出ます。そろそろお終いの方なので、具体的な目標を話しますね。目標と効果です。



 Ⅸ-▼ 具体的な目標
  1-◆ 第一段階
  ~1週間ぐらい


一週間目ぐらい、このノート右ページの使い始めのやつを一週間くらいやると、自分の経験で話してるんですけど、ようやって自分の感覚を言語化するというクセがつきます。完全な説明を諦めるという決断力がつきます。完全な説明を諦めるという決断力という言い方はちょっとヘンなんですけども。

何故の第一段階ですね。まず一週間ぐらいは最初あったことを書くばっかりでいっぱいだと思うんですけども、一週間ぐらい自分に何があったのかとか、何を思ったか書いてると、なんでそう思ったのかが書けるようによっやっとなるまで一週間ぐらいかかると思います。


  2-◆ 第二段階
  ~1ヶ月ぐらい


で、一ヶ月ぐらいやると、何故を二回繰り返せるようになります。なんでそうなのか、それは何故なのか、っていうふうに書けるようになる。

つまり、腹が立った、なんで? っていったら、折角準備したのにありがとうって言ってくれなかったからって理由が返ってくる。なんで? ってもう一回聞くと、それは私がそこで認められたかったから、っていうふうに、自分の内面にもう一歩踏み込んだ書き方をすることが、何故を二回繰り返すことです。一回目の何故っていうのは他人に対する言い訳みたいなもので、ついつい正義なことを言っちゃうんですね。「当り前でしょ」「人間なんだから当り前でしょ」っていうこと言うんでけども、二番目の何故は「だって私はこういう人だから」というカミングアウトが必ず含まれるんです。

だから、何か思ったこと、感じたことの第一段階の何故は、だって私、あなたもそうでしょう、そんなの当たり前じゃん! ての書くんですけども。2回目の何故は、だってそんなの誰でもいやじゃないの? だって私こうだからとか寂しいからって風に、ようやっと自分の内面に踏み込んだ理由が出てくるのが2回目の「なぜ?」です。


  3-◆ 第三段階
  1ヶ月経過後~


で、何故を2回繰り返せるようになって、1ヶ月目くらいから「ということは」ってのも使えるようになります。
「ということは」ってのは何かっていうと、いくつもいくつも書いてると、同じようなパターンが見えてくるんですね。
「ということは」こういう事かな? って風に、自分なりの仮説とかですね。あれ、ひょっとしたらこうじゃないかな? って思いつきが徐々に徐々に出るようになります。つまりノートにそれまであった、こんな事考えたよ思ったよだけではなくて、このノートを書いてる最中に思いついたよとか、ということはこうかもしれないね、っていう自分の推理とか仮説みたいなものが徐々に徐々にノートの中に現れるようになります。

これ、現れなくても気にしないで下さい。人によって差があるし、何ページくらいノートを埋めたかによっても違いがありますから。

で、論理力というのが付くわけですね。ここで言ってるのは。何故を2回繰り返したり、「ということは」っていう仮説を使えると言うことは。

で、左ページがようやっと書き始める事が出来るようになるでしょう。右ページを1ヶ月くらい書いてて左ページはできるだけ遊んでくださいって言っても、1日2日めは頑張って絵を描いたりしてるんですけども、3日目4日目になるとついつい描きたい絵もないなあってついつい描けなくなって来るんですね。でもそれをずーっとやってると、面白いもんで、毎日ノートの右側しか使わなかったら、左側がもったいなくて仕方がないんですよ。

これがこのノートの面白いところですね。
左側毎日開けてることによって、左側何か、毎日真っ白いぐらいだったら、もうどんなに下手な絵でももう描いてないよりいいわってある日急にふって思えるようになりますから。

えーこんな左ページ空いてていいの? って3日も4日も続けてたら、何か描くようになっちゃうんですよ。人間って面白いもんで。

そうすると、何でも良いから描いてください。表でもかまわないし、表ってと知的な物考えちゃうんですけども、絵でも構わない。センスがなくてもいいです。替え歌でもかまいませんし、ポエムでもかまいませんし、心の俳句でもなんでもかまいません。

そこまで言葉にしたくないならあーうーあああーでもかまいませんし、そん時自分が気に入ってる曲ですね。このノートを書いてる時に自分の心の中に起こってくるテーマソングでもかまわないです。そのテーマソングってのは後で見ると何か不思議に意味があるし、そのテーマソングを日本語化してノートに書くって行為自体に意味があるんですね。

これを書く癖を付けると、頭の中でようやっとそれまで分析してたり思いついたりしてた脳の役割が、ぐるーっと混ざり出します。それはノートの上で混ざってるように見えるんですけど、皆さんの頭の中で混ざってますから。
繰り返しますけど書いたノートはいちいち見直さなくても結構です。

このノートは頭を耕すためのもので、耕される畑ってのはみなさんの頭ですから、耕す行為のみに集中してもらえば結構です。


  3ヶ月以後~

で、左ページに描いているいつもの落書きから、意外な発想がようやっと生まれ出すのに、3ヶ月じゃないかな


  6ヶ月以後~

6ヶ月目ぐらいから、そういうのがありますので、これをずっと続けて3ヶ月から6ヶ月ぐらいの間で、人に説明するときの、手順がよくなって、組み立てもだんだん意識されるようになって、意外な発想ってのがようやっと生まれ始めるのに3ヶ月から6ヶ月かかります。


  1年以後~

このノートをつけて、ほぼ1年経つと、そろそろ人から「あなたは論理的な人ですね」と言われるようになります。
ここまでかかるんです。ホントに。だからよく本屋さんで売ってる論理術とか論理的思考のガイドブックというのはですね、こんなに信用出来ないんですよ

論理とか理屈とか物の考え方ってのは肉体的な修練です。武道の教科書を見て次の日から強くなれるはずがないんです。それは『マトリックス』の中に出てきた幻想です。
ブルース・リーの映画を頭ん中ダウンロードして強くなるというのは、あれは夢ですから。毎日毎日の本当に突きとかの訓練がいるんですよ。

で、こいつが訓練です。これを毎日毎日訓練して、何をやってるのかわかんないってくらい、なんで理屈で論理を組み立てていくのか。あれは型だと思ってください。

型を練習することによって、いつの間にか型どおりに自然と身体が動くってのがありますけども武道でも。
「なんでこんなに型ばっかりやらされるんだ。そうじゃなくて俺はただ単に俺は喧嘩強くなりたいんだ」ってあしたのジョーの。矢吹ジョーがストレートとジャブを習ってるだけで「あれ? 俺強くなった!」みたいなもんでですね。


これで、自分の考えてることを言語化する、徐々に論理にする、反論する、具体例を考える。次に自由に発想して連想してることを書くってことをずーっとやってると、1年ぐらいすると頭の中でそれが形になっちゃうんですね。
ようやっと筋道だった神経のカイロが出来てきて、身体がそのように動くように、脳の筋肉もそのように動くようになります。

ここまでに、正直1年かかります。これが1週間とか2週間で出来ますとか言ったら僕このノート術をベストセラーにすることも出来るんですけども。このノート術みたいなものを今まで知ってながら、本にしたりベストセラーを狙わないのは何かっていうと、1年かかるからですホントに。

真面目にやって1年かかります。ただし、1年かけたらですね、かなり皆さんは周りの人から「あの人、頭いいね」とか「論理的だね」って風に言われるようになります。「いつも意外な発想できるね」とか「アイデアマンだね」っていう風に、ようやっと言われるようになってます。

で、その頃ですね。1年後ってのがどういう状態かというと、そろそろノートの左右ページが全部埋まり出します。
1年かかります。さっき話したみたいに、ノート書くときって最初はこんなもんです。

こんなもんです。じゃーっと書いてこんだけしか書けないのが、1年ぐらいやってるとなんか、これが6割ぐらいしか書いてないですね。ここまで行くのに1年ぐらいかかります。ざーっと書いてここから連想した事をざーっと書くのに1年ぐらいかかります。

1年ぐらいかけると、ノートの両面がほぼ埋まるようになってきて、時には2見開き使うようになる。1見開きで足りなくて、まだ今日1日なんだけど半分しか考えてること書いてないのに、見開き全部使っちゃうのでしょうがない次のページ行っちゃえ! ってなる日が月に1回か2回、ついに出るようになるのに1年かかります。

で、ノート率0.5かな。僕ノート率って呼んでるんですけど。1日1見開きを自分で書こうとしてるんですけど中々守れない。1日1見開き書いたとしてもさっき見せたようにちょっとしか書いてない事が多いんですけども、それらを合計してこのノートを半分ぐらい使えるようになるんですね。半分ぐらい埋めれるようになるのに1年ぐらいかかります。


  3年以後~

で、3年目ぐらい。このノートを毎日やり始めて3年目ぐらいになるとどうなるのかというと、なんで他の人は論理的に物を考えられないのかさっぱりわからなくなります。

え、なんでみんな理屈で物を考えないんだろう。理屈って一番楽で簡単なのにって心の底から思えて、皆さんの家族や友達が理屈に合わないことを言ったりやったりしてると、腹の底から不思議に思えるようになるのに3年かかります。

あと、多分いろんな事に対しての対応策が思い浮かぶようになる。対応策というのは、ちょっとさっきも言いましたように、最高の策じゃないんですね。

一番いいものをたった一つしか思い浮かぼうとしないからみんな失敗するんですね。
僕たちが目指すべきは、最高のアイデアを、最高のタイミングで出すことではなくて、最高じゃないんだけどとりあえずのアイデアを10個出すことです。

なので、何か聞かれたときに、何か「これできる?」って聞かれた時にやり方を3つや4つあっという間に思いつくようになります。

ノート、これを3年以上付けてれば、何かものを考えなければならないときに、どういう風にものを考えればいいのかって考え方自体がいくつもいくつも思い浮かぶようになります。3年ぐらいかかりますので。

これをずっと続けていれば、ようやっと始めに戻りますけども、自己プロデュース。好きなことを仕事にするってのは、大きく流れを戻します。1番最初の木村拓哉さんのシナリオライターの例で話しました通り、人間てのは運とかですね、周りの状況で生きてるんですね。

だから状況を切り開いて自分のやりたいことをやるんだ、夢を叶えるんだって方法ではまず成功しないです。
成功するってのは何かって言うと、上手いこと周りが行きそうな時にすかさずやるとかですね。自分がやりたい事ってのをいつもいつもやり方を考えてる時に、やれそうな気運が来たりチャンスが来た時に素早くやっちゃう。これしか僕は成功法ってのを見たことがないです。

なので、このノートの付け方をすることでですね、何か物を考える時に、アイデアが常に複数浮かんで、やり方が複数浮かんで、それぞれのやめ方までわかるようになって来るんですよ。つまり今やってる仕事を辞めるって時に。今はどうやって辞めたらいいんだろうって考えるんですけども、ノート付けて3年ぐらいたつと、止め方には5つくらいあるけど、どの辞め方がダメージ少ないかなって風に考えられるようになります。

こういう風に考えられたらしめたものです。こういう風に自分の好きなことを仕事にするでもいいですし、自分の能力を上げていって、自分のやりたいものに近づくでもいいですので、頑張ってみてください。

僕の考える、ですね、自分のやりたいことを仕事にする、自己プロデュースの方法というのは、まずノートをベースにして、自分を鍛え上げるってこともないんですけども、出来るだけものを考えやすい体制にして、それを繰り返すことによって、農業で畑を耕すように頭を耕して、どういう状況が来てもどんな変化があっても、どんな不幸があっても、どんな幸福があっても、その時万全に楽しめる体制を自分が作るということだと思います。

1時間半の間、ありがとうございました。


 Ⅹ-◆ 質疑応答


※追記(2012/07/17 14:01)
こちらで使われている岡田斗司夫のノートの画像はこちらのリンク先のものを使っています。
岡田斗司夫のスマートノート公開

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